全国に本を届けるには(1)
「能美舎」という屋号で、本作りを始めて3年目。これまでは、インディーズのミュージシャンがライブ会場で自作のCDを手売りするイメージで活動してきましたが、制作を続ける中で「この本はもっと広い範囲の人に手にとってもらいたい」と思うものが出てきました。
でも、出版業界は全くの素人です。なんとか本の形をしたものを作ることができるようにはなったものの、そもそも本が、どうやって全国の書店に並んでいるのかも知りません。
調べてみると、一般的に流通する本には「ISBN」という世界共通の記号で、どこの出版社が作ったどんなジャンルの本なのかを識別するための記号と、それに付随して書店などが本体価格などを把握するための「書籍JANコード」という記号が必要なようです。ISBNを取得すると、どんなに小さくても公に「版元」と認められることにもなります。そこでこの春、それらを管理する「日本図書コード管理センター」に申請書類を提出。晴れて、公的に出版者?「能美舎」が誕生しました!
でも、それだけでは書店に本は並びません。全国の書店と各出版社が一冊ごとにやり取りをするのは大変です。出版社は作った本をまず、専門の卸に預け、卸は契約する書店に各出版社の本をまとめて届けて代金を受け取り、そのマージンを引いた分の売り上げを出版社に支払う、という既存の仕組みがあったのです。果たして、実績も信用もない私と取引してくれる卸はあるのでしょうか。 (次回に続く)(2018年8月)