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伊吹の自然 切り絵で表現


 米原市の切り絵作家早川鉄平さんの展示会に行ってきました。

 地面に鼻を擦り付けて餌を探す猪、周囲を警戒して耳をすませるうさぎ、その頭上を、今まさに獲物を狙って降下するイヌワシ。間接照明の灯りに、浮かび上がる生き生きとした動物たちの姿。会場を歩くと、どこかおとぎ話の世界に迷い込んだようです。

 早川さんは金沢市出身の元カメラマン。モンゴルや北海道、小笠原諸島など国内外で主に野生動物を題材に写真を撮ってきました。豊かな自然に感動する一方で、「良い時期に良いところだけを見て、全てを見てきたように発表することに後ろめたさがあった」と言います。「自然の中に根を下ろし、内側から暮らしを見つめて表現したい」と仕事で縁があった米原市に地域おこし協力隊として移住。

 その間に、子どもの頃からの趣味だった切り絵が注目を受け、カメラをカッターに持ち替えました。「アウトプットの仕方だけが違うだけ。今表現したいものを表現しやすいのが切り絵だった」と、構えない姿勢に心が和みます。

 現在の住まいの伊吹は猪や鹿やキツネに日常的に出会える絶好の場所。厳しい環境で必死に生きているという印象が持たれがちな野生動物も早川さんには、みんな日々を楽しんで暮らしているように見える。「僕が感じている彼らの親しみやすさを表現できたらなあ」と語る早川さんが楽しそうで、作品の動物たちも喜んでいるように見えました。(2019年1月・朝日新聞滋賀版)

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