丘峰喫茶店(能美舎)

〒529-0431 滋賀県長浜市木之本町大音

​TEL 080-2079-4692

February 13, 2019

 湖北に移住して感激した食べ物のひとつが摘みたてのイチゴ。美味しさを教えてくれたのは、道の駅「湖北みずどりステーション」に隣接したビニールハウスでイチゴを栽培している松本靖夫さんです。
 松本さんは「章姫」「かおりの」など4種類のイチゴを栽培。最盛期は1~3月です。昨夏の台風でハウスのビニールが破れて飛ばされてしまうなどの被害にあいましたが、なんとか今シーズンも収穫に間に合いました。
 松本さんによると、湖北のイチゴの美味しさの秘密は「寒い冬」。イチゴは光合成をすることにより糖分が上がるため、日照時間が長く、気温が低いことが美味しさの条件。寒いとゆっくり赤くなるので糖度がじっくり上がり、暖かいと甘くなる前に赤くなり、身がだれてしまうそうです。
 湖岸のハウスでは章姫が真っ赤に熟していました。市場に出荷するイチゴは完熟前に摘み取ってパックに詰めます。最も糖度が高いという完熟の実を食べられるのは直売所まで足を運ぶ特権。ヘタ近くまで真っ赤になったイチゴを選んで口に入れると、実が締まって食べ応えがあり、しっかりと甘く...

January 31, 2019

 元地域おこし協力隊員の植田淳平さんは2015年12月、「芸術文化による地域活性化」を任務として東京から長浜に移住。3年の任期中に、北国街道でのブックカフェのオープンや、西野亮廣さんの絵本「えんとつ町のプペル」展の開催など、ネット上で資金を募るクラウドファンディングの活用をサポートし、成功を収めました。

 昨年、「映画館のない木之本で『カメラを止めるな』の上映会がしたい」と企画したプロジェクトは、地方に特化したクラウドファンディングサイト「FAAVO」の中で特に成果が認められたとして表彰されました。植田さんは「クラウドファンディングは資金を集めるだけでなく、活動を周知したり、末長く応援してくれる味方を作れたりするところが強み」と言います。

 昨年末、協力隊の任期を終えた後も「都会ではなく地方だからこそ自分の力を求めてくれる人がいる。一個人として生きているという実感が強く持てる」と木之本に残ることを決めました。今後は、合同会社「MediArt」として、クラウドファンディングをしたい人や団体を支援する事業を考えている...

January 23, 2019

 賎ヶ岳の麓、伊香具小学校の裏手に、ひっそりと佇むお堂があります。伊香三十三所観音霊場十七番、明音寺千手堂です。山の斜面にある苔むした石段を登り、靴を脱いでお堂に入ると、6畳ほどのお部屋の中に観音様がいらっしゃいます。

 普段お堂は閉まっていて、集落で「観音講」を結ぶ7軒の御宅がお堂の鍵を管理し、時折訪ねてくる拝観者の方のお相手をされています。

 私が中に入らせていただくのはこの日が初めて。仏像が好きすぎて長浜に移住した「観音ガール」の對馬佳菜子ちゃんが遊びに来てくれたので、世話方さんにお願いし、拝ませていただくことにしました。

 初めて出会う大音の観音様。どっしりと構えた黒塗りのお体に、紅色の唇。頭には十一のお顔をお持ちです。正面に座り、しばらくじっと見つめていると、「可愛い顔してはるやろ」と世話方の林忠雄さん。

 観音さまのお顔に「しっかりしなさい!」と、私にげきを飛ばす実家の母の顔を重ねていた私はそう打ち明けると、林さんは「見たときの気持ちでお顔が変わる。わしも若い時分、腹を立てているときにお顔を見たら、すごく...

January 17, 2019

 米原市の切り絵作家早川鉄平さんの展示会に行ってきました。

 地面に鼻を擦り付けて餌を探す猪、周囲を警戒して耳をすませるうさぎ、その頭上を、今まさに獲物を狙って降下するイヌワシ。間接照明の灯りに、浮かび上がる生き生きとした動物たちの姿。会場を歩くと、どこかおとぎ話の世界に迷い込んだようです。

 早川さんは金沢市出身の元カメラマン。モンゴルや北海道、小笠原諸島など国内外で主に野生動物を題材に写真を撮ってきました。豊かな自然に感動する一方で、「良い時期に良いところだけを見て、全てを見てきたように発表することに後ろめたさがあった」と言います。「自然の中に根を下ろし、内側から暮らしを見つめて表現したい」と仕事で縁があった米原市に地域おこし協力隊として移住。

 その間に、子どもの頃からの趣味だった切り絵が注目を受け、カメラをカッターに持ち替えました。「アウトプットの仕方だけが違うだけ。今表現したいものを表現しやすいのが切り絵だった」と、構えない姿勢に心が和みます。

 現在の住まいの伊吹は猪や鹿やキツネに日常的に出会える絶好の場...

January 10, 2019

 あけましておめでとうございます。皆さんよいお年をお迎えされましたか。我が家の年末年始は餅つき三昧。年の瀬は自分たちで育てた羽二重をついて鏡餅をつくり、年明けは、私たちのお米の師匠で西浅井町塩津浜の樋口嘉明さんと古代米で餅つきをしました。

 古代米とは、農学的な概念は無いそうですが一般的には「古代から栽培されてきた在来品種」とされています。樋口さんはコシヒカリ以外に、赤米、緑米、黒米、香米など7種類の古代米を栽培。色とりどりの稲穂が実る秋の田んぼは美しく、なかなか他では見かけない風景です。

 今回は、そのうち香米と赤米のもち米を準備してくれました。近くに越してきたアメリカ人親子のダニエルさんとハナちゃんも誘って、いざ餅つき。

 まず、樋口さんが飛び散らないように杵で米粒を潰してから、みんなで交代で杵を振り下ろして餅をつきます。つきあがった餅は、急いで丸めて重箱へ。

 初めて餅つきをするハナちゃんは、自分で振り上げた杵に頭をぶつけて泣いちゃったり、ついたお餅を丸めるのに苦戦して、指と指の間に水かきができたみたいに餅がへ...

December 27, 2018

 所用で実家のある東京に帰省しました。久しぶりに会える甥っ子と姪っ子には「魚魚(とと)あわせ 琵琶湖・淀川水系版」というカードゲームをプレゼント。

 2枚1組の札に琵琶湖になじみの深い魚介類が漢字とイラストで描かれています。例えば「あゆ」は「魚」と「占う」の2枚を揃えるとイラストが完成。神経衰弱のルールで遊べます。また、一方には「重量級 深みにひそむ 琵琶湖の主 琵琶湖大鯰」などと魚の特徴を紹介した言葉が添えてあり、読み上げることでかるたとして楽しむことができます。

 早速みんなで神経衰弱。裏向けに広げたカードの中から2枚を選んで、絵合せを狙います。「琵琶葦登」「魦」「似吾郎鮒」と琵琶湖の魚たちが登場し、6歳の姪っ子も次々と獲物をゲット。2回戦はかるたのルールで8歳の甥っ子が読み手になって、札を取り合いました。

 実はこの前、滋賀に遊びに来てくれた甥っ子と琵琶湖で釣りをしたのですが、釣果は外来魚のブルーギル1匹。その後届いたはがきには、お腹の赤いブルーギルが描かれていました。

 「琵琶湖には元々住んでいる魚がたくさん...

December 13, 2018

 冬至には「ん」のつく食べ物を食べると良いと言います。湖北では「砂おろし」といって、この時期に1年間で体内にためた良くないものを出すために、こんにゃくを食べる習慣があるそうです。
 原料のこんにゃく芋はサトイモ科の球茎で、春に植えて秋に収穫します。「生子」と呼ばれる種芋を植えて1年目は拳くらいの大きさです。それを3~4年、植えて収穫してを繰り返し、写真のような重さが1㌔ほどある大玉に成長します。イノシシも手をつけないほどアクが強烈で、獣害の心配はありません。
 加工には、大玉に成長した芋を使います。肌の弱い人は素手で触るとかぶれてしまうので、手袋を着けて作業をします。こんにゃくの作り方は色んな方法があるそうですが、私が教わった方法は簡単。
 生芋400㌘をミキサーにかけ、2㍑の湧き水と一緒に煮込みます。かき混ぜたときに鍋の底が見えるくらい固まってきたら、炭酸ソーダを加えて一気に混ぜあげ、型に流し込んで固めます。一晩置き、沸騰させた湧き水で1時間ほどアク抜きをすれば完成です。
 私は出来立てを刺し身にして、手作...

December 13, 2018

 湖国に暮らし始めて増えた楽しみのひとつが「ふなずし」。最近では「水を張らないふなずし」の作り方が広がっています。水を変えずに済み、匂いが気にならない手軽さからか、住宅街などに住む現代人の暮らしに作り良いと評判で、私も5年前にその方法を習い、毎年土用の時期に漬けて、正月頃を目安に開けるのが楽しみになっています。

 先日、西浅井町にあるふなずし専門店「魚助」のふなずしの樽開きに立ち会わせていただく機会に恵まれました。魚助のふなずしは、重石を載せて水を張り、その水をこまめに変えながら発酵させる昔ながらの作り方。

 代表の松井俊和さんは10年前、「昔ながらの作り方を極めた日本一のふなずしを作りたい」と、「木桶」でふなずしを漬けるため、現代では希少となった木桶職人を探し出して秋田まで出かけ、専用の樽を作ってもらったそうです。初年度は木の香りの強さに驚きましたが、だんだんと味が馴染み、年を追うごとに美味しくなったと言います。

 ふなずし初心者の私は「匂いが気になるのかな」と勝手に想像していましたが、まず飯をいただいてびっくり...

November 29, 2018

 山百合が咲いた日、とてもおめでたい行事がありました。村に新しいお嫁さんがやってきてくれたのです。

 大音集落には、村で育った娘さんがお嫁に行くときには生家からお宮さんの鳥居まで、他から嫁入りするときには鳥居から嫁入り先の御宅まで、結婚式の前に練り歩く風習があります。

 最近では歩く人は半分くらいになったそうで、嫁入りの日が決まると「お嫁さん、歩いてくれはるってよ」と村中の人が話題にし、ハレの日を心待ちにしていました。

 当日の朝、花嫁さんを一目見ようと、老若男女、たくさんの人が外に出てきました。鳥居の前に車が到着し、中から花嫁さんが降り立つと、周囲からは「わぁ」と歓声が上がります。秋晴れの青空に、綿帽子の白無垢姿がなんと美しいこと!昔ながらの町並みが和装を一層引き立てます。

 嫁ぎ先の御宅まで向かう道中、親戚の方々が後に続き、沿道の人たちにお菓子やお酒を振る舞いながら歩きます。顔を赤くして道端でお酌し合う男性ら、両手にお菓子を抱えて喜ぶ子どもたち。腰の曲がったおばあさんが「よう来てくれはった」と何度も繰り返し口にし...

November 8, 2018

 大音には、伊香津臣命いかつおみのみことをご祭神とする「伊香具神社」が鎮座されています。口伝では白鳳時代に建立と伝わり、少なくとも平安時代には、当時の朝廷によってまとめられた「延喜式神名帳」で大社として記載されるなど由緒ある神社です。

 鳥居の形が全国的にも珍しく、横一列に三つの鳥居が並ぶ「三輪式鳥居」と、本体の鳥居を支える形で稚児柱のある「厳島式鳥居」が組み合わさった形で「伊香式鳥居」と呼ばれています。後方に山がそびえる一方で、かつては神社の前に入江があったとされることから、山と海の特徴を併せ持つのでは、と考えられているそうです。 

 9月初め、村の人たちの信心深さを知る出来事が起きました。直撃した台風21号が、境内にある樹齢200年を超える杉の大木を次々となぎ倒し、そのうちの一本が拝殿を潰してしまったのです。あまりに痛ましい光景に、よそ者の私は近寄ることも申し訳なく思いましたが、みんなは「宮さんを放っておけない」と、連日通い詰めていました。

 二ヶ月が経ち、深刻だった境内も今ではすっかり片付きました。拝殿の再建...

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