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お嫁入り、出迎え温かく


 山百合が咲いた日、とてもおめでたい行事がありました。村に新しいお嫁さんがやってきてくれたのです。

 大音集落には、村で育った娘さんがお嫁に行くときには生家からお宮さんの鳥居まで、他から嫁入りするときには鳥居から嫁入り先の御宅まで、結婚式の前に練り歩く風習があります。

 最近では歩く人は半分くらいになったそうで、嫁入りの日が決まると「お嫁さん、歩いてくれはるってよ」と村中の人が話題にし、ハレの日を心待ちにしていました。

 当日の朝、花嫁さんを一目見ようと、老若男女、たくさんの人が外に出てきました。鳥居の前に車が到着し、中から花嫁さんが降り立つと、周囲からは「わぁ」と歓声が上がります。秋晴れの青空に、綿帽子の白無垢姿がなんと美しいこと!昔ながらの町並みが和装を一層引き立てます。

 嫁ぎ先の御宅まで向かう道中、親戚の方々が後に続き、沿道の人たちにお菓子やお酒を振る舞いながら歩きます。顔を赤くして道端でお酌し合う男性ら、両手にお菓子を抱えて喜ぶ子どもたち。腰の曲がったおばあさんが「よう来てくれはった」と何度も繰り返し口にしていました。 

 お嫁さんの義母さんも「古い習慣に付き合ってくれて嬉しい。村の人たちに祝福され、大音に迎え入れてもらえてよかった」と幸せそう。

 家族のように祝事を分かち合える村の暮らしに、心が温かくなりました。


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