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木桶のふなずし 格別の味


 湖国に暮らし始めて増えた楽しみのひとつが「ふなずし」。最近では「水を張らないふなずし」の作り方が広がっています。水を変えずに済み、匂いが気にならない手軽さからか、住宅街などに住む現代人の暮らしに作り良いと評判で、私も5年前にその方法を習い、毎年土用の時期に漬けて、正月頃を目安に開けるのが楽しみになっています。

 先日、西浅井町にあるふなずし専門店「魚助」のふなずしの樽開きに立ち会わせていただく機会に恵まれました。魚助のふなずしは、重石を載せて水を張り、その水をこまめに変えながら発酵させる昔ながらの作り方。

 代表の松井俊和さんは10年前、「昔ながらの作り方を極めた日本一のふなずしを作りたい」と、「木桶」でふなずしを漬けるため、現代では希少となった木桶職人を探し出して秋田まで出かけ、専用の樽を作ってもらったそうです。初年度は木の香りの強さに驚きましたが、だんだんと味が馴染み、年を追うごとに美味しくなったと言います。

 ふなずし初心者の私は「匂いが気になるのかな」と勝手に想像していましたが、まず飯をいただいてびっくり!甘酒のような芳醇な香りと濃厚な甘み、まるで上等なお菓子。鮒は柔らかく、フルーティーなチーズのような味わいです。桁違いの美味しさに思わずお代わりをおねだり。来夏の弟子入りを志願してしまいました。(2018年12月・朝日新聞滋賀版)


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